明港汽船株式会社は、Synologyの監視ソリューションで運航の安全性と業務の信頼性を向上

安全第一を確実に確認できるツールであり、導入してよかった。船にNASを導入することは大波の揺れなどに耐えられるか心配だったが、導入してから1年以上、問題なく稼働し続けている。

明港汽船株式会社担当者名　永野氏

課題

船舶安全性向上のために厳しい環境に耐える監視システムが必要

2022年に知床で発生した遊覧船の沈没事故から、船舶へのドライブレコーダーの訴求が上がっていた。遊覧船事故を教訓に、船舶が事故や緊急事態に巻き込まれた際に、事故原因の解明や責任の追及に役立つ映像が必要になる。その他、積荷の荷崩れ防止や荷の安定性確保など船舶の運航における安全性と効率性を高めるために積荷のモニターをするという監視ニーズがあったことから船舶への監視システムの導入に踏み切った。

しかし、海上という、不安定なネットワーク環境において監視システムの構築および大波の揺れに耐えられるようNASを設置することは大きな課題となっていた。

ソリューション

13隻の船にある26台のカメラを事務局から監視可能に

明港汽船はCDCインターナショナルと協力し、SynologyのSurveillance Stationを利用することで課題解決した。

現時点では13隻の船舶にDS220+を搭載し、揺れ耐性の面からHDDではなくSSDを採用している。ドライブレコーダー用途として操縦部に1台、積荷モニター用途に1台のカメラを搭載し、1隻に2カメラ、13隻に合計26台のカメラを導入し、1週間の映像を各船舶内で録画している。船舶内のネットワーク環境は4G回線を使用して構築している。

また、DS1522＋およびCentral Management Systemを使用して明港汽船事務所ですべての船舶の映像をモニターしている。

明港汽船構成図

利点

リアルタイム監視による運航の安全性を向上

運航中のネットワークの制約から、事務所からのリアルタイム監視は難しい状況だったが、特に発着時や停泊時におけるリアルタイム監視が好評いただいている。この時点での映像確認が、接触や衝突事故の発生が起こりやすい状況で監視が非常に重要とされる部分である。事務所がSurveillance Stationを利用し船長の運転をモニターして、事故が発生しそうな場合は、モニターセンターから該当するカメラを選択して船長とコミュニケーションを取ることで、事故を未然に防ぐサポートを行える。

特に、瀬戸内海を運航するルートでは、700以上の島があり、運行中も島々にある4G基地局の回線を取得してリアルタイムの映像を事務所で確認することも可能だ。狭い水路や岩場、潮流などの地形的特徴から接触や衝突、座礁の危険性が高く、運航中の出来事をリアルタイムで確認できる点がいい、と永野氏は語った。

4G回線が届かない大海原の運航の際にも、監視データはNASに録画され、ネットワークが接続できる状態になった際に、事務所のCMSから当時の映像を遡って確認できる利点がある。

監視映像が業務の信頼性と社内教育に貢献

積荷のレコーダー映像は、何か問題が発生した際に荷主へ提供することで問題なく物資が積まれているかを確認いただき、お客様への信頼向上にも役立っている。その他、もし接触や衝突があった場合、当時の映像がNAS内に録画されているため、導入前はどこで衝突したかを口頭での説明しかできなかった部分を視覚化することに役立てている。そして事故発生時の映像は船員同士で共有され、指導・教育などへの活用としても貢献している。

その他、事務所からの船舶状況の確認や運航の判断を行う必要があったものの、運行状況の判断材料は天気予報や波浪予報などを使用していたため、運行状況の安全性や効率性に課題が生じていた。導入後は船舶内の映像から波の高さや船の揺れ具合を判断し、運行状況の指示を効率的に行っている。

今後は明港汽船の運航している船舶30隻すべてへの監視システムの導入を行う他、カメラ台数の増加などを検討している。さらに1隻当たりのカメラ台数も増やし、後方確認やさぼり防止などAI機能も活用していきたいと語った。

顧客について

明港汽船株式会社は、幅広い物資の輸送および離島への運航を専門とする船舶業者である。同社は約1,500tの積載が可能な船を30隻運航し、陸上からの輸送が難しい銅製品や小麦、コンテナ、原料、スクラップなどの重要な物品を効率的かつ安全に運搬している。その輸送サービスは、関西地域の経済や生活に不可欠な役割を果たしている。